12月28日18時 更新しました。

『キャッチ=22』 ジョーゼフ・ヘラー

キャッチ=22 ジョーゼフ・ヘラー 海外小説

概要

『キャッチ=22』は、アメリカの作家ジョーゼフ・ヘラーが1961年に発表した風刺小説です。物語は第二次世界大戦中のイタリアを舞台に、アメリカ空軍の兵士たちの理不尽で矛盾に満ちた軍隊生活を描いています。この小説は、戦争の無意味さや官僚主義の非合理性をブラックユーモアを交えて風刺し、「キャッチ=22」という矛盾した状況を象徴する言葉を生み出しました。

あらすじ

主人公ヨッサリアンは、イタリアのピアノーザ島で爆撃任務に就くアメリカ空軍の爆撃手です。彼は戦争の恐怖に怯え、できるだけ任務を避けたいと考えています。しかし、軍の規則により、ある矛盾した状況が彼を苦しめます。それが「キャッチ=22」です。

「キャッチ=22」とは、兵士が精神的に異常であると認められれば、任務から外されることができるが、異常であることを申告すれば、それは自分の命を守るための正常な判断とみなされ、結局任務を免除されない、という自己矛盾の規則です。この理不尽な状況に、ヨッサリアンは絶望しながらも、何とか生き延びようと奮闘します。

キャッチ=22とは?

「キャッチ=22」というフレーズは、この小説から生まれた有名な言葉です。矛盾した状況や、逃げ場のないループを意味し、たとえば「逃げるための唯一の方法が、逃げること自体を不可能にする」というようなジレンマを指します。現代でも、こうした理不尽な状況を表現するために使われるようになりました。

テーマ

この小説の大きなテーマは、戦争の無意味さと非合理的な官僚主義です。戦争において、兵士たちは生き残るために戦っているはずなのに、戦場の規則や命令が彼らを理不尽な危険にさらします。特に、軍隊の命令や規則がしばしば矛盾していることを、ヘラーは辛辣なユーモアで描いています。

登場人物

  • ヨッサリアン:主人公の爆撃手。戦争や軍の理不尽さに疑問を抱き、何とかして生き延びようとするが、いつも「キャッチ=22」に縛られてしまいます。
  • ミロ・ミンダーバインダー:軍の供給担当で、戦争を利用して利益を上げるビジネスマンのような存在。軍事と商業の無関係な世界を風刺しています。
  • カスカート大佐:任務数を常に引き上げる無情な上官で、兵士たちの苦境を深める役割を果たします。

文体と風刺

ヘラーの文体は、ブラックユーモアと風刺に満ちており、軽妙な言い回しと理不尽な状況を描くことで、戦争の無意味さを強調しています。登場人物たちのやりとりや、非合理的な軍隊のシステムを通して、戦争に対する強烈な批判が込められています。

結論

『キャッチ=22』は、戦争の不条理さと官僚的なシステムの非合理性を鋭く風刺した作品です。戦争小説でありながら、ヘラーは従来の戦争の英雄譚を覆し、むしろ戦争の理不尽さと兵士たちの絶望をブラックユーモアで描き出しています。この小説は、現代でも強い影響力を持ち、特に「キャッチ=22」というフレーズは日常生活でも使われるほど広く知られています。

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